土地探しではいくつかチェックすべきポイントがあります。以下では特に押さえておきたい点を紹介します。
用途地域
用途地域とは、計画的な市街地を形成するために用途に応じて13地域に分けられたエリアです。例えば、行政が住宅を建てる地域と想定した区域は次の8地域を指します。
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居専用地域
・第二種住居専用地域
・田園住居地域
・準住居地域
これらの住居系の用途地域は住環境が優先されており、落ち着いた環境で暮らせるのが特徴です。一方で商業系や工業系の用途地域は、振動や騒音などを確認したうえで選ぶ必要があります。用途地域は自治体の窓口やホームページ、ハウスメーカーなどで確認可能です。
その他、下記3つの用途地域でも住宅の建設が可能です。
・無指定
・工業地域
・淳工業地域
この3つの用途地域は斜線制限や建ぺい率の規制が先で述べた8つの地域と比べて緩い点が特徴的です。また、住居系の地域と比べて地価が低い傾向にあります。
建ぺい率・容積率
先で述べた通り、土地によって建てられる建物の大きさは異なります。その基準となるのが「建ぺい率」と「容積率」です。
・建ぺい率:土地面積に対する建築面積の割合
・容積率:土地面積に対する延べ床面積の割合
※建築面積とは建物を真上から見たときの面積のことです。
広い土地が見つかったとしても、建ぺい率・容積率によっては希望に沿った建物が建てられない可能性があります。その他にも土地には様々な制限があるので、まずは対象エリアを熟知している不動産会社やハウスメーカーに相談してみましょう。
土地の形状
土地の形状は次の通り「整形地」と「不整形地」の2つに分けられます。
・整形地:形が整っており、傾斜などもない土地
・不整形地:形が整っていない形状の土地
整形地は住宅を設計する際、自由度が高い土地です。
一方、不整形地は敷地が大きければ建物の自由度は損なわれないものの、土地にデッドスペースが生まれてしまう点がデメリットです。そのため、どうしても余った空間ができてしまいます。
車置き場として使用できればいいのですが、場合によっては車を置ける広さに満たないデッドスペースができてしまうことも。また、狭小地では建物の一部が斜めになるなど、室内にもデッドスペースができる可能性があります。
なお、建築費の観点からいうと、線・直角の柱や壁で構成された四角形に近いシンプルな建物ほど、施工の手間が省け、費用を抑えられます。
前面道路の幅員
前提として、道路に2メートル以上接していない土地は基本的に建物を建てられません。これは建築基準法で定められたルールであり、そのような土地は「再建築不可物件」と呼ばれています。
また、前面道路の幅員が4メートル未満の場合は、敷地の一部を道路として提供するために、道路境界線を後退(セットバック)させる必要があります。土地の広さが十分だとしても、セットバックによって建てられる建物が小さくなる場合もあるため、注意しましょう。
高低差・擁壁
土地の高低差が激しいと、家を建てる際に盛土工事や擁壁工事が必要な場合があります。
例えば土地が道路や隣地よりも低いと、豪雨によって浸水するリスクが高まるため、盛土や基礎を高くするなどの対策が必要です。
一方で道路より極端に高い土地や傾斜地では、崩れないように斜面を安定させる擁壁工事をします。擁壁がすでにある土地の場合、法令上の基準をクリアしているかどうかを確認します。基準を満たしていない場合、修繕費用など、追加費用がかかる可能性があるため注意が必要です。
土地選びの際は崖崩れや土砂災害が起きそうな場所がないか、慎重に判断しましょう。
地盤
建物を安全に建てるためには地盤の強さが大切です。しかし、地盤調査は住宅の間取りや配置が決まってから調査をするため、事前調査はできません。
土地の状況はハザードマップや昔の地図などを調べる必要があります。なお、ステーツでもハザードマップや昔の地図はお出しできます。
田や畑だった場所の埋め立て地や盛り土した場所、海抜の低いエリア、河川の近くなど、地盤が軟弱な土地に家を建てる際には地盤改良工事をしなければいけません。工事には数百万円の費用がかかる可能性があります。
高さ制限等
高さ制限とは土地に建てる建物の高さの上限を制限する決まりです。用途地域や都市計画法などでその上限が決まっています。
例えば、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域内では、高さの上限が10メートルまたは12メートルと定められています。用途地域ごとにどのような高さ制限があるか知ることが大切です。
日照・通風
土地の日当たりや風通しの良さも土地選びでは重要です。日射角度は東西南北で変わりますが、南向きの家ほど日当たりが良く、人気があります。
ただし、日当たりと方角の関係は絶対的なものではなく、設計によっては「南向きなのにカーポートで日差しが遮られてしまう」「北向きなのに設計によって日当たりが非常に良かった」といった事例もあります。
間取りがどの方角に位置するかイメージしにくい場合は「○○向き=道路が付いている方角向き」とみなして、日当たりを確認してみてください。
風通しが良い土地は換気がしやすく、家の中に湿気がたまりにくくなります。また、近くに雑木林や竹林などがあると風通しが悪くなるため、現地で実際の様子を確認しましょう。
土地の水はけの良さもチェックポイントです。晴天時にはわからないので、雨天時に側溝のや付近の水溜まりの状況を確認する必要があります。
生活インフラ
上下水道・ガス・電気などの生活インフラが敷地内のエリアに引き込まれているか確認しましょう。
生活インフラの整備状況は、前に建っていた住宅や地域の特性などによって異なります。例えば、以下のとおりです。
・前に建っていた住宅がオール電化:ガス管が引き込まれていない
・下水道の整備がない地域:汚水を排水する浄化槽の設置が必要
・都市ガスがない地域:コストの高いプロパンガスの使用が必要
インフラが整備されておらず、離れた場所にある管から延長する場合は、引き込み工事や延長管工事の費用がかかります。そのため、住宅購入のコストを抑えたい方は、極力引き込み済みの土地を選びましょう。
ただし、下水は受益者負担金(㎡あたり数百円:自治体の設定による)を支払えば、自治体が引き込んでくれるケースが多いです。
都市ガスも同様に負担金を支払えば引き込みをしてくれます。
周辺環境
生活する中で、土地の周辺環境は住みやすさに影響する重要なポイントです。現地に足を運んで、次の点を確認しましょう。
狭い道路でも、すぐに大通りに出られる場合は利便性にさほど影響しません。ただし大通りから距離がある場合は、車のすれ違いのやり取りが発生しやすくなります。
ハザードマップ
ハザードマップとは台風や大雨、地震などの災害が発生した際にどこにどのような危険があるか、自然災害の被害を予測して被害範囲を色分けした地図です。ハザードマップは市区町村の窓口やホームページで誰でも確認できます。
家族が長く安心・安全に暮らすためにも、家を建てる予定の土地周辺の災害リスクをチェックする必要があります。例えば地震に関するリスクは「地盤の固さ」、水害に関するリスクは「土地の高さ」から判断できます。
売買契約締結時にも重要事項説明でハザードマップの説明があります。しかし土地探しの段階で調べておくと安心です。